SUMMER IN PARADICE

wondermissile2005-08-18

 またBEACH BOYSネタだが、近頃1992年にリリースされた「SUMMER IN PARADICE」を入手。このアルバムは個人的に重要なポイントがいくつかある。ひとつはブライアン・ウィルソンが完全に参加していないビーチボーイズのアルバムであるということ。そしてメジャー流通を受けられなかったアルバムのため、意外と手に入らないということ。事実アマゾンでも出てこない。そしてカントリー系のミュージシャンがトリビュート的にビーチボーイズナンバーを唄った企画もの的な「スターズ・アンド・ストライプス Vol.1」を除くと現在では彼等のラストアルバムにあたる作品なのだ。
 で、これが評論家筋にはどちらかというと評判が悪い。評判が悪い点をまとめると、「音が安易な打ち込み」「新鮮味のない夏路線」「キラーチューン不在」などであるが、その批判の多くは、要は「ブライアンがいないからダメ」なのである。
 かくいう自分もブライアン好きなので、この作品は手に入りにくいということもあるが、あまり興味を引かれるものではなかった。が、聴いてみるとそんなに悪くない。というより安定した老舗な作りとも言えて、「夏もの」としてはかなり良いんじゃないかと思う。
 ただリリースされた時代が92年ということを考えると、アレンジがやはり80年代なので、リアルタイムで聴いたらただの懐メロバンドが中途半端にデジタル化した印象を受けたかもしれない。しかしそれを考慮しても酷評される程ではないだろう。そうすると結局「ブライアンがいないからダメ」ということなのである。
 それにしてもブライアンが引きこもっても、売れなくなっても、世界中飛び回ってライブをこなして支えてきたマイク・ラブ等からすれば、ブライアン自体がビーチボーイズの重荷でもあったことだろうし、評価も多分に不快なこともあっただろう。ひとり天才的な人間がいると、その過剰評価を振払うのは難しい。ビーチボーイズの場合、最初は「BEACH BOYS」という名前と「海、車。女の子」というイメージに(ブライアンが)悩み、PET SOUNDS,SMiLE以降ブライアン伝説に悩まされてきたのだろう。
 そう考えるとJOY DIVISION後のNEW ORDERは大したもんだと思う。