医師不足と医学部の学費〜なぜ医学部の学費の高さが話題にならない?

 ここ数年、特定の分野の医師不足が話題になったりする。
 いつも思うのだけど、過酷な労働環境が話題になることは多いが、医学部の学費の高さが問題になることがほとんどない。
 某私立大学医学部の初年度の学費は1000万円を超える。が、これは私大の医学部で珍しいことではない。

 これを、普通の家庭の子供はどうすれば良いというのか?

 結果的に、金持ちの子供だらけになってしまうだろう。
 以前、新聞で読んだ記事で、正確なところは忘れてしまったのだが、ある看護士の話で
「病院の先生の多くは、小さい頃から教育にお金をかけてきた裕福な家庭の出身が多く、総じて母親が教育熱心な専業主婦であることが多く、勉強以外は甘やかされて(本人にその意識はない)育てられ、アルバイトもせずやってきて、すぐに先生と呼ばれるから、感覚が狂っている。そしてすべての女性を自分の親を基準に考えてしまうから、女は尽くすもんだとどこかで思ってるような医師が多い。それは看護士への態度にも自然と反映する」
 という趣旨のものを読んだことがある。
 まあ、これはすべての人にあてはまる話ではないことは当然だが、
 もっとも問題なのは「志があっても莫大な金がなきゃ医者にはなれない」ということだ。
 医者の数は減っていない、だから制度の問題だと言うけれど、医療のシステムの問題の前に、
 教育の機会均等の原則が、このジャンルにはないのではないか?
 志しをは教育されず、あるいは、特権階級的な独善の志しのみで、そして金持ちのみが選べる選択。
 そうなってしまえば、どんなふうに劣化していくのかは、二世政治家たちの体たらくをみればわかるだろう。

 こうした「教育に金はかけない」という国の姿勢が、この医療崩壊を作っているのではないか?

 たとえば、幼稚園や保育園で働く人の低賃金は(一部のお受験系は別として)、多くの人が知るところだが、そこも改善される気配はない。結局はなにをやるにも教育が根底にあってこそだが、そこはボランティア精神を発揮せよ、あるいは根性でなんとかしろ、というのがこの国の一貫した姿勢だ。
 多分、政策を考える人たちが、教育にかかる費用と、その不公平さを実感したことがないことも、
「金がないって言ったって、本気ならなんとかするでしょ」
的な態度に結びついてるんだろう。

 と、少し極論だけど、そう思った今日この頃。