雑誌と広告

 大半の雑誌はそれ自体の売上げよりもそこに掲載される広告による収入によって成り立つことが多い。そうなるとどういう事態が発生するかというと、「スポンサーの悪口は言えない」ということになってしまうのである。したがって、音楽雑誌を見ても、広告の掲載されたアーティストの悪口を書くということはまずない。その辺りの仕組みに気付いてからめっきり音楽に関しては雑誌を信用しなくなったのだが、最近気付いたことがある。たまたまイギリスの音楽雑誌を読んでいたら、そこにももちろんニューリリースのCDの宣伝もあるのだが、音楽産業や特定のアーティストとダイレクトには関係のない企業、たとえばお酒とか時計、アパレルなどの広告が結構多いのだ。そうなるとレコード会社やプロダクションだけに収入を依存しているわけではないから、より自由に発言できる。(5点満点で1点とか平気でつける)日本のメディアも見習うべきはそういう構造ではないだろうか。日本の音楽誌の広告は80%以上がレコード会社によるものに見える。そりゃ好きなことを書けというほうが無理というものだ。日本では「ミュージック・マガジン」あたりが10点満点で2点とかつけて、かなり辛口のレコ評を書いているが、たぶんあんまり売れてなさそうだし。